回路基本/ノイズ対策                   


ここでは、外来ノイズによる機器の誤作動を防止するという観点からの情報とします。
ノイズの種類は、下記例の様に多岐わたっています。
・ インパルスノイズ      ・ 静電気ノイズ
・ 雷ノイズ             ・ バーストノイズ
・ 電磁波ノイズ         ・ AC異常電圧
ノイズ対策は、対処療法で処置することもありますが、基本的な事柄については
設計段階から処置しておく必要があります。
本サイトで既に明示してある内容以外で、対策の基本的なものをリストアップします。

構造関連
項 目
対        策        例
筐体
筐体内にノイズを侵入させないのが基本
 1) 鋼板SPCCなどの構造材にシールド材としての役割りを持たせる。
     樹脂ケースでは内側を導電材で塗布する。
 2) 隙間はノイズ侵入(漏洩)のルートになるので構造的な工夫をする。
 3) 通気口はアルミ製のメッシュ材などシールド効果のあるもので覆う。
 4) 筐体内の金属構成物が低インピーダンスで電気的に接合されていること。
 5) 接地端子近くに筐体アース・スタッドを溶接しAWG14以上の電線で
        接続する。
シャーシ

ユニット
シャーシ・ユニットはノイズ対策の第二の砦
 1) 特に電子回路部分は筐体と同様な配慮をする。
 2) シャーシと筐体は低インピーダンスで電気的に接合されていること。
 3) シャーシ構造体は導電性の良いアルミ材か亜鉛メッキ鋼板とし、
       シャーシとシャーシ支持材が接触する部分は非塗装とし、
       電気的に接合されていること。
 4) シャーシと筐体アース・スタッド間をAWG16以上の電線で接続する。
 5) シャーシに操作パネルが付属の場合、シャーシ本体とAWG16以上の
        電線で接続する。
 6) 人が触れたり操作する部品は、静電気放電の電撃をアースに逃がすか、
      絶縁物で放電を避ける様にする。


電源関連
項 目
対        策        例
入力電源
機器の要求される性能に応じて入力電源品質を確保する。
 1) 機器の設置環境が入力電源に影響を及ぼす場合、
      絶縁トランス、ノイズフィルターによりコモンモード、
      ノーマルモードのノイズを遮断する。
 2) パソコン(以下、PC)を内蔵する機器においてはUPS(無停電電源ユニット)
        からの電源供給を検討する。
 3) 雷被害が想定される場合は、耐雷トランスも検討する。
入力回路
入力電源の責任分界点(機器配線遮断器一次側)以降は機器側責任
 1) 機器の使用電力に見合った定格の配線用遮断器とする。
     大き過ぎても、小さ過ぎても不可。
 2) 漏電遮断器の使用は要注意である。雷により瞬時漏電検出状態になり、
      自動遮断となる恐れがある。特に屋外設置機器では使用不可とすべき。
 3) ノイズ対策部品(トランス含む)の一次側と二次側配線は、完全分離する。
 4) 電源配線(強勢力回路)と、弱勢力回路(通信線含む)配線は、
      出来るだけ近づけないように配置する。


回路関連
項 目
対        策        例
配 線
配線の引き回しで耐ノイズ性能が決まる。
 1) 強勢力回路(AC線含む)と弱勢力回路などの配線分離は、部品の配置
     が重要。
 2) 強勢力回路配線は出来るだけ短く、コーナーにツイスト処理して
       配置する。
 3) 操作BOXなどの外箱機器との間はシールドケーブルで接続する。
      シールドは二重網かアルミシースのものを使用し、各筐体入線口の直近
        (数p以下)で筐体アースする。
 4) 通信ケーブル、IOケーブルなども上記と同様にコネクタボディを
       低インピーダンスでアースに接続する。
 5) ソレノイド、リレーなどのコイル端子にはメーカ推奨のノイズ吸収部品を
      コイル端子/コイル端子ソケットに直接ハンダ接続する。
 6) 配線ダクト・束線は見た目が綺麗だけではダメ。配線適正分離が最重要。
 7) 配線の引き回しは共通インピーダンスを念頭に行う。
       配線順序表(配線表)で使用電線・配線順序等を指示する。
プリント
基板
プリント基板内回路は最後の砦(城郭で言えば本丸)、防御の一手
 1) 電源ライン入力端子近くに、コモンモード/ノーマルモードフィルターを
      挿入する。
 2) パスコンはIC一個に一個。VCC-GND端子直近に配置する。
 3) 重要なIC(マイコン、メモリー、ADC、DAC等)には、
       高容量C+EMIフィルターを追加する。
 4) 状態記憶素子(F.F等)は、エッジ・トリガーのものを使用する。
      F.Fで言えば、D_Type F.Fを使用し、J-K_Typeは避ける。
 5) 重要信号は、D_Type F.Fで、立上り(立下り)検出を行った後、
      信号として使用する。
 6) カウンタ等のリセット端子には誤リセット防止用に、積分用セラミックC
      を挿入する。
 7) プリント基板内部の信号をそのままプリント基板外部へ出さない。
      バッファー等を介して内と外の信号分離する。
 8) 電源リセット回路は、専用ICを使用しAC入力電源の過渡電圧での誤差動を
      防止する。
 9) ADC・DACでICパッケージにてAGNDとDGNDピンが分けられている
      場合、基板のAGNDに両方を接続する。パッケージにて分けているのは
      IC側の都合。
 10) 静電気対策などで基板FGをシャーシ等に接続する場合、基板FG
       スルホール側に菊座金を使用し、AWG16以上の電線でシャーシ等に
       接続する。