回路基本/AC・E 回路                   


AC電源の供給を受けて動作する機器にとってAC線とアース(E)線の処理は、
機器の信頼性を大きく左右します。
処理方法に王道はありませんので、やるべきことを確実にやることが必要です。

 1.AC電源ノイズ対策
機器の設置環境により、AC電源には色々のサージを含むノイズが重畳して来ます。
これらを機器内部に侵入させると、機器破壊、誤作動など重大な障害を引き起こします。
機器内部に侵入させないことが基本であり、いくつかの対策例を示します。

   [1] サージ・アブソーバーの挿入
屋外機器のみならず、屋内機器においても雷サージ電圧で、機器破壊、誤作動などの影響を受けます。
誘導雷によるものが多く、遠くの雷でも配電系統に影響を及ぼすので要注意です。
避雷素子として、サージ・アブソーバー(ZNR)の使用例を示します。

上図にZNRの挿入例を示します。
(ZNRは、Panasonicの商品名)
ZNR1:ERZV14D201  ZNR2,ZNR3:ERZV14D391

要注意なのは、アース間に挿入する電圧定格。
通常は、ラインとE間の電圧は約100Vですが、単相三線式の場合、地絡事故により
ラインとE間の電圧が200V近くに上昇してしまう。
100V電圧用のZNRを使用すると、ZNRの焼損事故が発生します。

もう一つの注意点は、ZNRを可能な限り外部に近い位置に配置することです。
<例>
1) NFB二次側端子に直接取り付ける。
2) アース側配線も機器のE端子と出来るだけ低インピーダンスで接続する。
      電線接続の場合、AWG14より太いものを、短く使用する。
雷サージ電流を出来るだけ機器内に流さないことが大事です。

   [2] ノイズフィルター(N.F)の挿入
電子回路を含む機器においては、ノイズフィルター(N.F)は必須といえます。
AC入力部からN.F一次側への配線長は出来るだけ短くします。
電流容量が少なければ、下図の様なインレット・ソケット型が望ましいです。

また、N.Fの一次側と二次側の配線を出来るだけ分離することが大事で、
同一束線すると、N.Fを入れている意味が無くなります。

   [3] ACラインの配線処理
1) ACライン間に配線上のループが形成されていると、そのループに電流が流れると磁界が発生し、
    ノイズ源となってしいます。ループを極小化するためACラインをツイスト処理します。

2) 1)の磁界影響を少なくするため、ACラインの配線は、シャーシに沿わせて、出来ればコーナに配置・
    固定し、空中線になることを可能な限りさけます。

3) ACラインがノイズ源であることを認識し、信号ラインとは出来るだけ離すように心掛けます。
    誤っても、同一束線はしません。

4) 計測系の機器においては、シールド線による配線も考慮します。


 2.アース(E)の処理
アース(E)は、避雷素子、AC-N.F、機器内部のE端子のリターン回路であるのと、感電防止という
保安上の役割りもある。以下に留意すべき事項を何点があげます。

1) 避雷素子、AC-N.Fのアース線は、機器の接地(E)端子と、短く・太く、低インピーダンスになる
    ことに留意します。

2) 機器内に複数のシャーシ等がある場合、 シャーシアースは、機器の接地(E)端子と個別に配線する
    ことを基本とし、渡り配線はしません。

3) 静電気対策の面でも、アースは重要です。
    人が操作する面・部品は、放電の電撃を受けても、低インピーダンスで放電電流を接地(E)端子に
    逃がします。筐体・シャーシに放電電流を流さないため、放電用のアース線を設けます。

4) アース(E)記号は、JISの電気用図記号[JIS C 0617]に規定されているので、使い分けが必要
    です。

他の電気図記号も、JISに準拠することが基本です。