回路基本/DC電源回路                


機器内で使用するDC電源をどのように構成するかは、機器の規模によって異なってきます。
パック電源を使用する場合は、電源メーカが性能を保証しますが、
小規模の電源をREG-IC等で構成する場合、留意すべき点が何点かあります。

 1.降圧・整流回路
降圧・整流をトランスと整流器で構成する場合、整流器の+−出力にノイズ吸収用の
セラミックコンデンサを挿入することが、外部からの高周波ノイズ対策に有効です。

電源トランスの周波数特性から、高周波ノイズ成分はスルーで通過してしまいます。
挿入するCは高耐圧のものとし、コンデンサ容量は対策する周波数に合わせます。

 2.平滑・安定回路
   1) 平滑Cの容量は、AC電源の瞬停を時間的にどの程度カバーするかで決定します。
機器のAC電源瞬停特性として、瞬停時間の影響を受けずに、
無視かリスタート動作のどちらかになることが必要です。
どちらでもないフリーズ(異常)状態になることだけは避けなければりません。

   2) 「平滑C−REG-IC−安定C−出力」の結線は通常表記では下図ですが、配線のしかたまでは表れません。

この図を結線図と称して配線依頼をすることは、REG-IC本来の特性を引き出せないことになります。
配線作業者に、構成部品の役割りを理解し適切な配線の引き回しを期待するのは無理で、
それは設計者の責任において行うべきものです。

   3) コンデンサC2,C3は、REG-ICの動作保障用で、コンデンサC1,C4は充電/放電のラインが
共通インピーダンスにならないようにしなければなりません。
下図に、これらを考慮した結線図を示します。

    基板内に、同様の回路を構成する場合においても、パターンの引き回しに注意しなければなりません。

 3.熱計算
REG-IC単体では定格電力の1/10も使えなく、ヒートシンクが必要となります。
ヒートシンクの熱設計に関する技術案内が以下のサイトで閲覧出来ます。
水谷電機工業
機器の設置環境温度(筐体内)を基準に、安全係数を考慮して必要熱抵抗を求めます。
注意しなけばならないのが屋外設置機器で、夏シーズンにおいて筐体内温度は、
60℃を超えることを考慮しなければなりません。

 4.スイッチング電源
市販のパッケージ化されたパック電源の多くはスイッチング方式で、
リニア方式の電源はコスト的にも使いにくくなっています。
デジタル回路とアナログ回路が同居する装置においては、三電源出力のスイッチング方式をベースに、
アナログ用電源にLCフィルタを挿入して使用するという選択肢もあります。

電解コンデンサC1,C2には、低ESR(等価直列抵抗)の小さいものを選択します。

 5.COM分離
アナログ用GNDとデジタル用GNDを分離するのが通常であるが、
どのポイントで両者の電位を一致させるかを十分考慮する必要があります。
分離する目的が、デジタル系のノイズがアナログ系に影響を及ぼさないようにすることで、
デジタル系のGNDは多少ふら付いても問題にはならないという視点から、アナログ用GNDをメインに考えます。

上図右側の破線の様に基板上のあるポイントで、アナログ用GNDとデジタル用GNDを接続すると、
基板のコネクタまで分離していた両者が、電気的に等価(共通インピーダンス)となってしまい、
分離した意味を無くしてしまいます。
アナログ系回路のリターン電流はアナログ用GNDを、デジタル系回路のリターン電流はデジタル用GNDを
通るようにするためには、DC電源内を接続ポイントにしなければなりません。